インタビュー

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喜多郎、キャニオンレコード時代のアルバム5Wハイレゾ化!制作スタッフインタビュー★

Posted on 2016.7.21


グラミー賞アーティストとして、ニューエイジ音楽の代表的ミュージシャンとして、世界的に知られる喜多郎のキャニオンレコード時代のアルバム5枚が96kHz/24bitのハイレゾ音源で配信となります。(新素材技術を使った高音質CD“UHQCD”でも同時発売)

HD-Music.では、名作「シルクロード」を始めとするアルバムのハイレゾ化を記念して、ハイレゾ化に関わった制作スタッフに、ハイレゾ化のこと、ハイレゾ版の聴きどころなど、を聞いてみました。

<写真左>マスタリングエンジニア 能瀬秀二氏
<写真右>制作ディレクター 河野文雄氏

◆今回のハイレゾ化にあたって使用したマスターは、どのようなマスターなのか教えてください。

能瀬: 今回は、アナログレコードのカッティング用マスター(アナログ1/4テープ)を96kHz/24bit WAV-fileにアーカイブした音源マスターを使用しております。弊社で保管されている「喜多郎」のマスターは、このカッティング用マスターとCD用のカットマスター(U-matic→DDP)の2種類なのですが、CD用カットマスターはアナログ盤用マスターが基となって作られていますので、原点に立ち返りたいという思いもあり、更には今回の企画はハイレゾマスタリングでしたので、アナログ盤用のマスターを使用しました。

◆そのマスターからどのような工程でマスタリングを行ったのか教えてください。

能瀬: 上記アナログ盤用のマスター(WAV-file)を一度D/Aコンバートし、アナログ領域でのマスタリングプロセス(EQ&Dynamics)を施し、その後、A/Dコンバートし、最後にディジタル領域での微調整プロセスを施しハイレゾマスタリングしております。

◆喜多郎さんの音源のハイレゾ化にあたって、意識したこと、こだわった点があれば教えてください。

能瀬: やはり当時のサウンドを大事に再現する事が第一のポイントですが、聴いて頂く方の耳に優しいサウンドにすることを特に意識しております。喜多郎を聴いて頂く方の年齢層が恐らく40代・50代以降の方がメインかと思いますので、あまり今風の派手なサウンドにするのではなく、耳触りが良く、聴いていて心地よいサウンドになるよう心掛けております。
ただ私の考えとしては、過去の作品のマスタリングをする時は、ハイレゾ音源のリリースをするからこうするとか、CDのリリースだからこうするという事ではなく、まずは現状のマスターのサウンドを聴いた上でそのマスターが本来はどのようなサウンドを出していたのかを想像する事が一番大切だと思っています。その想像を基にそれをいかに再現させていくかが私達マスタリングエンジニアの使命だと考えております。その過程では私自身の個性を強要してはいけません。もしそうすると、それはオリジナルを壊す事になるからです。
ハイレゾ音源は、オリジナルのサウンドがCDよりも素直に表現出来る手段です。ですのでハイレゾ音源が一番マスターに近いサウンドである事は間違いありません。
一方、CDはオリジナルのサウンドと同等のものという訳にはいきません。それはCDの「器」がマスターの「器」よりも遥かに小さい為です。この小さな「器」に如何にマスターサウンドを注ぎ込んでいくかがマスタリングエンジニアの仕事のひとつの大きな醍醐味です。
今回のCDは「UHQCD」を採用していますが、これは従来のCDよりも更にマスターサウンドに近いものを表現出来る非常に優秀な盤です。ですので、今回のマスタリングではハイレゾ用のマスタリング工程とほぼ同等の工程でCDマスターも作成する事が出来ています。その聴き比べをしていただくのも面白いかと思います。


◆その工程で苦労したことはありましたか?

能瀬: 特に苦労したという事はありませんでしたが、実は、喜多郎のオリジナルアルバムをマスタリングするのは今回が初めてだったのですが、私も中学生のころに「シルクロード」を聴いて「凄い音楽だ!」と感銘を受けていましたので、そのマスターの音を聴いた時にいっぺんに中学時代に気持ちがタイムスリップしました。あの時の感動がまた味わえるようなサウンド作りが出来ているのか?という葛藤と闘いながらのマスタリング作業でした。
それにしても「喜多郎」の作品は聴くたびに新しい発見がある完成度の高い素晴らしいアルバムが多いと改めて感じました。

◆手元の資料に「今回の新マスタリングによるハイレゾ音源の音質は圧倒的である。」「ハイレゾ音源はその響きの陰影や音の粒立ちといったものを見事に再現している。」とあります。
「響きの陰影」や「音の粒立ち」といった点で、特徴的な曲があれば、それを元に、もう少し詳しく教えてください。


河野: 例えば、アルバム『OASIS』のM-3「New Wave」にクロスモジュレーションを使ったベルの音が出てくるのですが、これなんか音の抜けが全然違います。
また『シルクロードⅡ』のM-3「生命の泉」のアナログシンセのアルペジオが本当に粒立ちが良く聴こえます。同様に喜多郎さんの叩くパーカッションが響く響く。これなんかは上と下の倍音がはっきり聴こえるからだと思いますね。

◆喜多郎さんは、シンセサイザーの黎明期からシンセ奏者を代表するアーティストとして活躍されていました。この頃のシンセサイザーは、現在のシンセサイザーとは異なるアナログ・シンセサイザーでしたが、アナログとデジタルではハイレゾ化の際の質感はたいぶ異なるものですか?

河野: 最近はPCMシンセも大容量化してHD化してたりしますが、以前のPCMシンセはメモリー容量の関係でサンプリング周波数が低いですから、音源をハイレゾ化しようが元から無いものは無い(^^)。
その点、アナログシンセは波形自体が倍音豊かだったり、自然にサチュレーション掛かってたりしますから、ハイレゾ化で随分聴こえるものが変わってくるように思います。

◆ブレイクのきっかけとなった曲であり、おそらく誰もが一番聴きなじみのある曲であると思われる「シルクロード」について、ハイレゾ版での聴きどころを教えてください。

河野: 左右いっぱいに拡がったステレオ感と前後の奥行き感を感じて頂きたいと思います。非常に立体的というか、今までのCDが本当に平面的に聴こえてしまうと思います。
20kHz以上の周波数の影響なのか、確かに音の曇りが取れたような感じがします。それが手前の音と奥の音の配置の違いを鮮明にさせて奥行き感を感じるのです。


◆今回配信となる5枚のアルバムで、ハイレゾで特に聴いてほしい曲をご推薦いただけますか?

河野: 
OASIS M-4:COSMIC ENERGY
シルクロード M-1:絲綢之路
シルクロードⅡ M-3:生命の泉
敦煌 M-4:砂の神
気 M-4:オアシス

お話、ありがとうございました。



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